2回目の大規模修繕工事、優先すべきものは何?
概要 築年数:29年
総戸数:16戸
課題

築20年を超えて、大規模修繕工事も2回目となると、補修すべき箇所も増え、追加したい機能なども出てきます。あれもしたい、これもしたい。けれど予算は限られています。その中で皆が納得する優先順位とはどのように考えればいいでしょう。

劣化した部分の補修、新しい機能や設備の追加、美観の向上など、実施すべき多種の工事を費用対効果を考え、そのマンションで今、やるべきことを決めていく必要があります。

工事の進め方・対応

工事の実施にあたり、お住まいの皆様全員にアンケートを実施しました。補修してほしい箇所はどこか?また生活で不便を感じていること、追加したいと思っている設備や機能は何かなど、1人ひとりの意見を収集し、その集計結果を公表したり、住民説明会を実施することで優先順位をつけていった結果、最も優先度の高いのは見た目も古く貧弱だった玄関ドアの交換であると決めることができました。

これを中心に他の工事内容を見直し、優先度の低い工事の費用を削減する方向で範囲と仕様を決定しました。

お客様の声(工事完了後のアンケートより) 古い建物で玄関ドアが貧弱でしたので、新しいものに交換し美観も良くなるともに、ダブルロックにもなり、防犯性能も上がって満足です。

建物の劣化状況を正しく判断することで工事範囲を決める
概要 築年数:25年
総戸数:65戸
課題

マンションの建物や設備は経年によって様々な部分に劣化が生じてきます。一方で工事のための資金がいつも充分にあるとは限りません。

限られた資金の中で、どの部分を今回の修繕工事で実施し、どの部分を後におくる事が適切なのか、住んでいる皆様だけでは判断に迷うところです。

工事の進め方・対応

まずは専門家による建物の調査診断を行ないます。目視して分かることだけではなく、コンクリート内部の様子や壁面タイルの浮きの有無なども調査し、劣化状況を正しく把握することが大切です。

調査の結果を修繕委員会などでしっかりと把握、理解し、どの工事から優先度を上げて実施するかを決めます。また調査の結果と委員会での検討の状況は、お住まいの皆様全員へ広報し、大規模修繕工事実施を管理組合総会で決議する前に住民全体が状況を把握し、合意形成が得られる状態を作りだすことがとても重要です。
このマンションでも、このプロセスをしっかりと踏むことで、お住まいの皆様の納得感を高めることができました。

なお工事範囲を決める上でのキーポイントは検討する工事に足場が必要かどうかです。足場が必要な工事はまとめて行なうことが費用的にも効率的です。

お客様の声(工事完了後のアンケートより) 状況を正しく判断し、工事の優先度を決めるのは素人ではとても無理でした。専門家による調査を行ない、工事の優先順位を決めることで関係者が納得しながら工事範囲を決めることができました。

管理組合の意見の統一ができず、建物の劣化が進んでいく…
概要 築年数:19年
総戸数:32戸
課題

通常、1回目の大規模修繕工事は新築から12年程度で行なわれることが多いのですが、工事の実施には管理組合総会での決議が必要となるため、お住まいの皆様の合意形成ができないと、年月が経過し、その間、建物の劣化がどんどん進んでいくという状態になってしまいます。

このマンションでも、お住まいの皆様から様々な意見が出ましたが、それをまとめることができずに大規模修繕工事が先延ばしになっていました。

工事の進め方・対応 建築の専門家として、また皆様の意見の整理役として協会がコンサルタンティングすることとなりました。建物の調査診断の実施、調査結果に基づく工事内容の提案、お住まいの皆様からの意見の集約、施工会社の選定補助など、第三者的な立場でお住まいの皆様の合意形成をサポートすることで工事実施に至ることができました。また実際の工事にあたっては設計監理者として工事内容や品質をチェックし、工事が円滑に進むようサポートすることとなりました。
お客様の声(工事完了後のアンケートより) マンションには様々な立場の人がそれぞれの考えや意見を持っているので、自分たちだけでは合意形成は難しいと感じました。やはりプロの方が客観的にアドバイスしてくれることはとても大切だなと思いました。

 大規模修繕工事の重要性 ■ 工事の進め方  建物調査・診断の実例 ■ 実例に学ぶ大規模修繕工事